最初の5回
ゼロ初級の最初の5回の授業メモ
1回目:Unit 1「なまえ」
- 文法と目安の時間
- X は Y です(約16分)、〜ですか(約14分)
- できるようになること
- 自分の職業を言える(わたし は かいしゃいん です)
- 人の職業を言える(たなかさん は エンジニア です)
- 国を言える。助詞「は」の読み方がわかる
- 文の終わりに「か」をつけて質問できる
- 「しごと は なん ですか」で職業を聞ける
- 名前を聞ける
- よくあるつまずきと直し方
- 「は」を ha と読む
「は」は助詞です。日本語の書き方は戦後に整理され、原則として発音どおりに書くことになりました(現代仮名遣い・昭和61年内閣告示第1号)。ただし告示は「表記の慣習を尊重して」特例を設けていて、助詞の「を」「は」「へ」の3つは、旧来の書き方のまま残されています。そのため書き方と発音がずれます。ずれるのは助詞のときだけで、単語の中の「は」(はな・はは)は ha のままです。生徒さんには「この3つだけ」と範囲を示すと、覚える負担になりません。
生徒さんへの一言Only the topic marker は is read “wa”. It is written the old way, from a time when it was said that way. Inside a word — はな, はは — it is still “ha”. Just three particles do this: は, へ, を.
- 「わたしは」を毎回つける
英語では主語を省略できません。その習慣がそのまま出るので、文のたびに「わたしは」をつけてしまいます。日本語は、話題が変わらないかぎり主語をくり返しません。一度「わたし は かいしゃいん です」と言ったら、次は「にほんじん です」だけで通じます。文法として誤りではないので、その場で止める必要はありません。つけなくてよいと1度伝えておけば、自然に減っていきます。
生徒さんへの一言You can drop わたしは after the first time. Japanese leaves out what both of us already know. It is not wrong to keep saying it — it just sounds heavy.
- 「です」を落とす
英語の be動詞は I'm a teacher のように短く弱く発音されるので、文の中で目立ちません。同じ感覚で「です」も落ちます。日本語では「です」が文を終わらせ、同時に丁寧さを出しています。落とすと、意味は通じても、ぶっきらぼうに聞こえます。生徒さんが仕事で使う相手を思い浮かべてもらうと、必要さが伝わります。
生徒さんへの一言Keep です at the end. It closes the sentence and makes it polite. Without it, you still make sense, but it sounds blunt at work.
- 「は」を ha と読む
2回目:Unit 2「これ・それ」
- 文法と目安の時間
- これ・それ・あれ(約10分)、も(約8分)、じゃありません(約10分)
- できるようになること
- 手元の物を「これ」「それ」「あれ」で言い分けられる
- 「この」「その」「あの」を名詞の前につけられる
- 「これ は なん ですか」で名前を聞ける
- 「わたし も 〜 です」で同じだと言える
- 「は」を「も」に入れ替えられる
- 「〜じゃ ありません」で違うと言える
- よくあるつまずきと直し方
- 「これ」と「この」を混ぜる
英語の this は1語で両方を兼ねるので、分ける理由が見えません。
生徒さんへの一言「これ」stands alone. 「この」always has a noun after it — この ペン, この ほん.
- 「それ」を英語の that と1対1で覚える
英語は2語、日本語は3語に分かれます。that に当たるものが「それ」と「あれ」の2つあります。
生徒さんへの一言「それ」is near me listening to you. 「あれ」is far from both of us.
- 「は」と「も」を両方つける
英語の too は文末に付け足します。同じ感覚で、「は」を残したまま「も」を足してしまいます。日本語は入れ替えです。
生徒さんへの一言「も」replaces「は」. Not わたしはも — just わたし も.
- 「これ」と「この」を混ぜる
3回目:Unit 3「だれの」
- 文法と目安の時間
- の(約10分)、だれの(約10分)、〜ね ・ 〜よ(約8分)
- できるようになること
- 「わたし の かばん」で持ち主を言える
- 「にほんご の せんせい」で何の先生かを言える
- 名詞2つの間に「の」を入れられる
- 「だれ の ですか」で持ち主を聞ける
- 「わたし の です」で答えられる
- 家族の単語で持ち主を言える
- よくあるつまずきと直し方
- 語順を逆にする(せんせい の にほんご)
英語は teacher of Japanese の順で、説明する側が後に来ます。日本語は先に来ます。生徒さんは英語の語順のまま単語を置き換えるので、逆になります。「にほんご の せんせい」と「せんせい の にほんご」は、どちらも日本語として成立してしまうところが厄介です。後者は「先生が持っている日本語(の本など)」という意味になるので、文としては通るのに、言いたいことと違う意味で伝わります。2つを並べて、意味が変わることを見せると分かりやすくなります。
生徒さんへの一言In Japanese the describing word comes first: にほんご の せんせい — Japanese, then teacher. If you flip it, せんせい の にほんご, you are saying “the teacher's Japanese”. Both are real sentences, so the mistake does not sound broken — it just means something else.
- 「の」を落とす
英語は名詞を2つ並べるだけで成立します(Japanese teacher, company car)。日本語は間に「の」が必要です。ただし例外もあって、「にほんご きょうしつ」のように1語として定着している組み合わせでは「の」が入りません。初級では「名詞2つの間には「の」」と覚えてもらえば足ります。例外に出会ったときに、その語だけ覚えてもらう形で進められます。
生徒さんへの一言Two nouns need の between them: にほんご の ほん. English just puts them side by side — Japanese needs the link.
- 「の」を英語の of と1対1で覚える
「の」を of だと覚えると、「わたし の かばん」が of me the bag のように感じられて、語順が混乱します。英語で言えば、of と 's の両方に当たります。「わたし の かばん」は my bag、「にほんご の せんせい」は teacher of Japanese です。英語側では2つの形に分かれるものが、日本語では「の」1つにまとまっている、と伝えると整理できます。
生徒さんへの一言の covers both “of” and “'s”. わたし の かばん = my bag. にほんご の せんせい = a teacher of Japanese. One word in Japanese, two patterns in English.
- 語順を逆にする(せんせい の にほんご)
4回目:Unit 4「なんじ」
- 文法と目安の時間
- 〜じ〜ふん ・ なんじ(約25分)
- できるようになること
- 「いま なんじ ですか」と聞ける
- 「よじ」「しちじ」「くじ」を正しく言える
- 「ごぜん」「ごご」「はん」をつけられる
- よくあるつまずきと直し方
- 「よんじ」「ななじ」「きゅうじ」と言う
4・7・9 の数字の読み方を、そのまま時刻に当てはめています。時刻のときだけ、この3つは読み方が変わります。7時は「ななじ」と言う人もいますが、標準は「しちじ」です。
生徒さんへの一言Only these three change: 4 is よじ, 7 is しちじ, 9 is くじ. You will also hear ななじ for 7, but しちじ is the standard reading.
- 「ごぜん」を後ろにつける
英語は 9 a.m. と後ろに置くので、同じ順で並べてしまいます。
生徒さんへの一言In Japanese it comes first: ごぜん くじ — a.m., then nine.
- 「よんじ」「ななじ」「きゅうじ」と言う
5回目:ふくしゅうの回
- 使うもの
- 第1章の文法ノートと、章のテスト
- できるようになること
- 自分と身の回りのことを、「〜は〜です」の文でひと通り話せる
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最初の4回は動詞を使わず、「〜は〜です」の文だけで進めます。活用を覚える負担がないので、生徒さんは「言えることが増えていく」感覚で最初の1か月を過ごせます。
くわしい教え方
各回の進め方は、note の記事にくわしく書いています。
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